大慈寺建立の物語

はるか昔、この地には、乱暴で人々を困らせる男が住んでいました。
争いごとを好み、仏さまの教えにも耳を傾けない、問題ばかり起こす、誰も手をつけられないような存在でした。

そんな男の姿を見て、心を痛めたのが観音さまです。
観音さまは、やさしい旅のお坊さんの姿に身を変え、男のもとを訪れました。

お坊さんと男は、静かに語り合います。
人を思う心のこと、命の大切さのこと、どう生きれば、心が楽になるかを――。
穏やかな言葉にふれるうちに、男の心は少しずつ変わっていき、仏教がもつ素晴らしさを知っていったのです。

男の心に清らかな光が灯ったとき、お坊さんは男の目の前で、本来のお姿へと戻ります。
柔らかな光をまとった、尊い観音さまのお姿でした。
観音さまは静かに空へと昇り、男の心にその教えを残していかれました。

この出来事をきっかけに、男はまるで生まれ変わったように心を改めます。
乱暴な振る舞いを捨て、観音さまから授かった道を歩んでいくことを誓いました。

そして、観音さまへの深い感謝を形にするため、この地に「大慈寺(だいじじ)」を建てたのです。
男はその後も一生、仏さまの教えを守り、人々のために尽くしたと伝えられています。

今日の「大慈寺」は、観音さまの慈しみと、一人の男の大きな心の変化を今に伝える、静かな証として佇んでいます。

大慈寺の歴史

室町時代、延徳2年(1490年)の開創で、明応2年(1493年)に広見寺二世の東尾朔方(とうゆうさくほう)により、再興・開山となる。宗派は曹洞宗本尊は、聖観世音菩薩。

こじんまりとしたいかにも山里の寺らしい雰囲気があり、急な石段の上に仁王門を構えるその風格は遠い時代を感じさせる。
このお寺の本尊は聖観世音菩薩で、他にも子安正観世音菩薩、賓頭盧尊者、庚申尊天、延命地蔵、六地蔵菩薩など多くの仏像が安置されている。
本堂内陣の重厚な宮殿厨子には、恵心僧都作といわれる本尊の聖観音菩薩が安置されている。
子安正観世音菩薩は「こそだてかんのん」としての信仰を集め、子育てや安産の祈願に多くの方が訪れる。
また「おさる」と呼ばれる這子(ほうこ)が奉納されており、「禍や厄災がさる」といわれている。
アニメ『心が叫びたがってるんだ。』(通称「ここさけ」)にも登場する。また、同作の実写版映画でも境内において撮影が行われた。(アニメ版2015年公開/実写版2017年公開)

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